みなさんは「食の世界遺産」をご存知ですか?
正確には「無形文化遺産」といい、民族文化や伝統芸術、社会的習慣、儀式など無形の文化遺産を指します。その中に食に関する文化遺産も含まれます。
これまで、登録されている食の無形文化遺産は、4件でしたが、2013年12月に和食が登録され5件になりました。
残念ながら日本食(和食)はまだ登録されていません。しかし、ユネスコ登録へ向けてすでに申請を済ませており、早ければ平成25年の秋頃に可否の結果が出るそうです。
それでは、この食の世界遺産「ユネスコ無形文化遺産」5件を紹介します。
和食(Japanese cuisine)
2013年登録
祝!2013年12月「和食:日本人の伝統的な食文化」が、無形文化遺産へ登録されました。
今回の登録の背景には、無形文化遺産登録を提案した
老舗料亭「菊乃井」主人の村田吉弘さんを理事長とする京都のNPO法人「日本料理アカデミー」
の登録に向けた活動がありました。
村田さんらは、近年の「和食離れ」を懸念しそれを食い止めようと
和食を無形文化遺産に登録するよう京都府に提言。
その後、国が登録に向けた運動を本格化させたそうです。
少し意外なきっかけですが、今回登録されて日本人としては嬉しい限りですよね。
さらに子供の食卓から「一汁三菜」の形が失われつつあると感じた村田さんらは
京都市内の小学校などで食育の講座を開き、
子供たちにダシの旨みや和食の美味しさを教えているそうです。
◆農林水産省のHPで「和食の特徴」として上げられている4つの和食文化ポイント◆
・多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
・栄養バランスに優れた健康的な食生活
・自然の美しさや季節の移ろいの表現
・正月などの年中行事との密接な関わり
これをきっかけに和食離れを食い止め、
さらに和食が世界に広まって行ってくれるといいですね。
フランス美食術(French gastronomic meal)
2010年登録
フランスでは、結婚式や出産、誕生日などの記念日を、友人や家族と食事しながら一緒に過ごすことは大変重要です。
・記念日を祝う社会的慣習
・食材の選び方、食べ物とワインの組み合わせ
・食前酒からはじまり、メイン、デザートと続くコース料理
・テーブルセッティング等のテクニック
これらがポイントとなり、フランス美食術として文化遺産に登録されました。
これらを継承すべく、小学校では「味覚の教室」が行われているほか、フランス料理を多くの人に受け入れてもらおうと「世界フランス美食祭」などといったイベントの開催も予定されています。
伝統メキシコ料理(Traditional Mexican cuisine)
2010年登録
7千年前から代々受け継がれている伝統が、今でも色濃く残るメキシコ料理。中には、当時食されていたレシピのまま、ほぼそのままの形で残っているものもあると言います。
メキシコ料理では、トウモロコシ、豆、唐辛子が3つのメイン食材と、国内で穫れる様々な農産物が材料となります。
料理のテクニック、習慣やマナーの総合的な評価、そして、社会的慣習、儀式及び祭礼行事の際にメキシコの伝統料理が重要な役割を果たす点などから無形文化遺産に登録されました。
トルコの伝統料理ケシケク(Ceremonial Keşkek tradition)
2011年登録
結婚式や祝日に用意されるトルコの伝統料理、Keşkek(ケシケク)。麦と肉、タマネギを水と油で一晩かけて煮込んだおかゆのような食べ物です。
大きな儀式の際、小麦を大きな石臼で脱穀するところから始まるのですが、傍から見ていると、まるで餅つきをしているようです。歌を歌いながら音楽に合わせて行われます。
地中海料理&食生活(Mediterranean diet)
2010年登録
無形文化遺産、地中海料理(Mediterranean diet)は、スペイン、ギリシャ、イタリア、モロッコの4ヶ国の共同登録です。
・魚介類や乳製品、穀物、野菜をバランス良く摂取
・油脂は少量の肉、オリーブオイルが中心
・適量のワインを交え、テーブル囲んで会話を楽しみながらゆっくりする食事
味はもちろん、食事全体のバランス、伝統や人とのつながりを大切にする食事といった生活習慣が、選ばれたポイントのようです。